さんすうLAB.のblog

さんすうLAB.(さんすうラボ)は兵庫県西宮市・夙川にある灘中、算数オリンピックを目指す子ども達のための中学受験算数専門の教室です。

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2021灘中1日目7

2021灘中1日目7-2

A1から6

 

ABCD1001×A98×B7×CA2×B3×CD なので、

 

2×B3×CDA7で割ったあまりは同じ

  3   2 1

 

A6

 

6321÷7903

 

 

20192日目1のヒントを使ってみました。

1行目 正確にはA46ですが、16とイメージするとあとでBCDのいずれかであまりを調整すればよいことが分かります。

 

僕が出題するならABの条件を取り除いて、何通り?という問い方にして、この方法1択にすると思いますが、答えを1個探すと良いだけにしているので、難易度が低くなっています。

 

 

20分で解こう①の続きですが、これも過去問と同じです。

7の倍数判定法はたくさんあります。たくさんあるので、覚えるのではなく『位取りから作る』のです。

 

過去問をテスト形式で学習した場合、何点取れるかということが主眼になります。

特に、基本技術が身についていない子どもたちにやらせる過去問は、できるところを探す練習でしかありません。

今年は、塾によって1日目の出来がはっきりと分かれました。

 

時間を計って、点数を出す練習では通用しないのです。コピーを配り解説を読んどいてというならば、時間を計らず重要問題のみを類型化してやることのほうが、はるかに効率的です。

しかし、今年の入試の結果を受けて、作成技術のない塾はますます過去問さえやればよいという方向に進みそうです。宿題という名の強制力で、解説を写すことは過去問を暗記教材にしてしまいます。このあと、解説する予定ですが、2日目4のようなクオリティーの問題を直前期に用意できるのであれば、暗記させればよいのですが、灘の過去問を先にやって、直前期に他校の問題の寄せ集めで、仕上がるのでしょうか。

 

 

 

また、基礎スキルが備わっていない状態での過去問特訓は意味がありません。

時期で言えば2学期、少なくとも6年生で学ぶ基礎技術が一周してからでなくてはならないと思います。

ウィークデーの授業が、年単位でカリキュラムを組んでいる以上、春から過去問特訓をしてもそれは本末転倒であり、子どもたちの頭の中にどのように解くための技術が備わっていくかを全く考慮に入れていないということなのです。やればいいという問題ではありません。子どもたちの立場に立って考えるのがカリキュラムです。

 

過去問を学習するコツは『言語化』です。

いえ、『言語化』までしないと、灘の未来問には通用しません。

 

先に書いたように、この問題も難しく出題しようと思えば、出題することはできます。言い換えると、灘があえて簡単に出題したのです。

 

今年度は簡単にし過ぎました。しかし、このことと作問能力は関係がありません。作問能力が追い付かなければ、しっかりと過去問を分析し、技術を『類型化』することが塾の役割だといえます。

 

100点が30人以上いる入試で数問「的中」などといっていると本当にやばいです。全問解けている子どもたちがたくさんいるのですから。

 

技術をきちんと『類型化』して身につけておけばどんな問題でも100点を取ることは可能です。

 


さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2021灘中1日目5

A×A115の倍数

 

(A1)×(A1)35の倍数なので

A3で割って12余る

  5で割って14余る

 

2021灘中1日目5-2

 

今日の洛星で2021年最難関の入試日程がすべて終了しました。

今年度の算数は、平均点が過去5年で最も高くなり、明らかに易化し、算数1日目は100点が複数でました。ラボだけでも3人いたので全体ではかなりたくさんいたことが推測されます。

 

このような2021年灘中入試において、特筆すべきは合格者平均83.0に対する全体平均65.1の乖離です。

 

今年度、ある関係者の話によれば、コロナ禍により、首都圏からの受験者は合格可能性の高いものだけに絞り込まれたそうです。

 

倍率の低下と首都圏の合格率の高さはこのことに因るものだと推察されます。

それなのに、約18点もの差が1枚のテストでついたのです。この数字は過去5年間で最高の数字です。2年前、算数の点数異常に低かったときは、49.838.511.3でした。

このように考えると、簡単な年度ほど、1日目の重要性が増すことが分かります。

 

易化の最も大きな要因として考えられるのが、過去問との類似性です。

そしてそれと並ぶくらいの大きな要因が検算の容易さです。

1日目、最後の立体は全くそのままでした。その他図形は基本的な問題が多く、数の単元も答えを求めるだけなら下手なやり方でもすぐに見つけられるので、全体的には難易度が低いテストだったように思われます。

 

さて、本問なのですが、『あまり分類』の割合の考え方を使って解いてみました。

ラボでは、灘の過去問と、最終回にもう一度この公式の考え方をやっています。

 2021灘中1日目5-3


2021灘中1日目5-4

 

今年度はコロナ禍で変則的な日程の講習等が多く、6年生として然るべき成長過程を経ることができず、受験を迎えた子どもたちも多かったものと推測されます。

 

幸い、ラボでは1回目の緊急事態宣言後すぐにリモートとの併用が準備でき、学習が続けられたこと、みんなの協力でコロナの影響を最小限に抑えて、受験を迎えることができました。

 

今年一年で強く感じたことは、夏の過ごし方です。例年、夏の人生を決める大きな模試に向け『自主勉強』をするところが、小学校の夏休み短縮による、夏期講習の詰め込みで学校対策ならぬ自分対策が不十分なまま2学期からの演習期に突入し、仕上がりの遅さの一因になったように感じました。

 

特に過去問に対するアプローチなのですが、過去問を教材としてそのまま扱うのは、秋以降、少なくとも一通りの本番で使う技術が出そろった時点が適切であると言えます。

学習の順序として過去問→論点ではなく、論点→過去問 だということです。

 

一部の塾や個別では、「灘中に対応するには、5年生からやらないと間に合わない」などというもっともらしい理由で「作る手間の要らない教材」をやらされています。

 

今回の入試でこの傾向が強くなることに対して、一度考えてみたいと思います。

下の問題は20142日目4の過去問です。

 2021灘中1日目5-5

 

形式的には過去問と同じですが、本質的には上記の2問と同じ問題です。

 

A×A17で割ったあまりなどという問題を灘模試で出すなら、この本質的なことが分かっていないものが作成したということになります。

15でも17でも2022でもセットごとに頑張って調べましょう()

 

 

1日目は、誘導がないため、自ら判断しなくてはなりません。

では、そのためにはどのように過去問を活用すればよいのでしょうか。

 

文章が長くなったので次の問題で、さらに論議を進めたいと思います。

 

 

さんすうLAB.主宰倉田泰成

2021甲陽2日目6

2021甲陽2日目6-2

(1)は変則8進法を使ってみました。変則8進法は一般的に塾では5年生で扱う内容です。

 

今年度、個人的に非常に疑問に感じたことが多かったのが塾の甲陽コースの指導でした。

 

甲陽コースは甲陽を狙うことが決まった段階で、「計算が出来ない」「図がうまく書けない」など弱点をかかえた子どもたちがたくさんいらっしゃいます。

 

私は、灘コースのスペシャリストのように思われがちですが、浜学園では入社以来辞めるまでずっと甲陽コースに携わってきました。

 

塾の役割は子どもたちの夢や希望が叶うように手伝ってあげることであり、子どもたちを選別することではありません。

 

先ほど、合格発表の現場から帰ってきましたが、塾から絶対に無理と言われていた生徒が合格していました。

 

たぶん、合格実績や合格率には数えられているのでしょう。

 

 

(2)は平均の考え方を使っています。000を加えて、192個にするのがポイントなのですが、

「できない解き方はしない」と塾では禁止だそうです。

ちなみに、300~は塾でやる基本の『位ごと』でやってみました。

 

N進法もデジタルの考え方もやってはいけないのだったら、5年のカリキュラムやテストから外せばよいと思います。

 

本番に向かう子どもたちを送り出す直前期、最も大切なことは子どもたちが自分でできることを増やすことです。

 

「お前はできないから算数は捨てなさい」「そんな解き方は甲陽コースとして認めない」「捨て問を作れ」すべて今年子どもたちが大人に言われたと言っていた指導法なのですが、このような指導は合格するための秘訣でもなんでもありません。

 

位ごとにたす方法は、手数が多くなり、計算が苦手な子どもたちは合う確率が下がります。

ラボでは、平均を使う考え方を優先し、そこにデジタルの考え方を加え、ダメならば場合分けをします。

 

甲陽合格のコツはなるべくできることを増やすことです。

西大和や洛南に比べ、問題数の少ない甲陽では逃げ場がありません。

 

 

逃げないように、僕たち大人はどうするのか、甲陽コースの指導に携わっている大人は今一度考えるべきです。

 

甲陽は算数のみならず、国語や理科も灘以上にハイレベルなことを要求してきます。

 

現場に立った人なら誰でも共感してくれると思いますが、今ここに立っていることがすごいことなのです。

 

子どもたちが願うなら、その場へ寄り添って連れて行くことが僕らの仕事です。

連れて行けない合格率8割になんて何の意味もありません。

 

最難関へのチャレンジは、それ自体に大きな意味があるのだと思います。

甲陽の合格を勝ち得たみなさん、おめでとう。

ここまで歩んできた過程は自分で歩んできた道です。

嫌気がさしサボったことも、悔しくて泣いたことも、そしてもちろん頑張ったこともすべてが合格へ歩んできたということなのです。

 

 

また新しい一年が始まります。最難関を本当に目指したいならぜひラボに来てください。

強い意志があるなら、いくらでも付き合います。

 

計算ができなくても、図が書けなくても、野球をやってても、別に構いません。

チャレンジする気持ち、変わっていく勇気があれば、憧れの甲陽は手が届きます。


さんすうLAB.主宰 倉田泰成

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