2016 灘中入試を20分で解こう②

2016 灘中 1日目6

2016灘中1日目6


今年度屈指の難問です。いろんな方からのリクエストが多いので早めにアップします。

 

1111111111×1111111111×49

 

ここで,2006年東大寺で出題された規則性を使います。

2016灘中1日目6解説図
あとは,分配法則を使って計算するだけなのですが,気をつけるべき点が繰り上がりです。

49×994851

49×984802 
より
B11桁目の数は4と決まります。
ところが
B11桁目はA1桁目になるので

12345679009876543211111111111

1111111111×(501)
2016灘中1日目6解説図2
 


今回使った考え方は,


1
並びの規則性

範囲を絞る

繰り上がり

 

実際には49をひたすら書いて規則性繰り上がりで解いた子らが多かったようです。

 

直前期に,子どもたちとやる作業の一つとして,
塾などで学習してきた過去問をもう一度一緒にやりました。
まずは
,
だまってやってもらってから一緒に工夫を考えていきます。

 

例えば,昨年度の2番なども81とおりを調べればよいのですが,
1
つ気づけば27とおりになり,もう一つ気づけば31パターンに集約されます。
27とおり調べるのを待ってから4パターンに分類することを教え込むのではなく提示するのです。

 

ここで,重要なことは,もっとも簡単なやりかただけではありません。
子どもたち自身が最短の道をはずれても
,
自分で解答までの道を拓くことが大切なことです。

 

ラボでは,上の3つの論点をばらして学習しました。

実はこの問題の元ネタが2005年の広中杯に出題されています。
 2016灘中1日目6解説図3

こうやって書くと
,数学オリンピックから灘中は出題されるとかいう人が出てきそうですが

結論から言って,数学オリンピックをやらせてもこの論点がつかめないと思います。


この論点を伝えるためテキストを作る際
,この問題も一旦入れたのですが,
難しくて子どもたちには伝わりきらないと思い,
1
続きと繰り上がり,9並びから1ずつ引いていくというところを別個の問題で扱いました。

 

来年以降も,例えば,今年度のこの問題を授業で扱うことは考えておりません。
そのかわり
,繰り上がりや範囲はもう少し増やしてもいいかなとは考えています。
 

 塾の指導で,簡単な問題を取って,難しい問題を捨てなさいということがありますが,
子どもたちはテストを通じ,そういうことは自分でやっています。

彼らができないのは,その問題が簡単か難しいかが,見抜けないのです


ラボでは
,今回の入試では70点台2つの150点付近の方が中央値でした。

2日目で1問落として7050台というパターンのかたもいらっしゃいましたが,
いずれにせよ,合格者平均の115点からすれば,すこし違うステージで戦えたのだと思います。

 

この問題を捨てるように指導するのか,やり方を覚えるのか,いろんな灘中対策があると思います。

 

僕は,ひとつひとつの原理を明らかにして,伝えていくのが僕らの役割であり,
本質に迫っていく過程こそが算数だと思います。

入試はゴールでありスタートです。
合格最低点が目標ではなく
,その先を見据えていれば,いつか必ず雲のない世界が広がってきます。

 

今年度,予想通り11問になり,問題に難易度をつけて取捨選択という時代は完全に終わりました。
取れるところを取っていくのが灘の入試ではなく
,取れないところを取っていくのが灘中の入試です。問題を捨てる練習は要りません。
見極める力が必要なのです。

 

順境のときではなく,逆境の時にこそ人間の本当の力が問われます。
これから灘中をめざすみなさんは考えることから逃げないでほしいと思います。
解答を写して覚えるのではなく
,先生や仲間と考えるのが大切なことであるとともに,
受験勉強で最も楽しいことです。

 

国語では今年度,物語が久しぶりに出題されました。
算数も
2日目は立体3,数の性質2題とかなり偏った内容でした。
言い換えれば傾向対策といったものの逆を狙っているのかもしれません。

 

ラボでは当日来ていた子らと,数と立体のプリントをやり直しました。

よくヤマを張ってほしいというようなことを言われるのですが,ラボでは基本的にやっておりません。
入試の対策というのは
,出そうなところをすることでなく,自分のできないことをやっていくものです。
当たり前のことなのですが,あまりに塾の課題が多くそのことが出来ない子が多いのです。

 

個人的な感想なのですが,最近いくつかの塾の灘中模試の内容が意味をなしていないような気がします。灘中模試は的中させる必要はないと思いますが,せめて習ったことを考え抜くような問題を作ってあげてほしいと思います。
授業の内容が本番の入試に対応していないから足りない部分をテストに出して当たれば儲けものというのは
,本質を見抜くという作業とは全く異なります。

 

真実を見抜く目を養ってください。
そうすれば
,受験勉強も楽しくなると思います。

小学生の子どもたちには,大きな世界が待っています。
僕たちも知らない未来に漕ぎ出す子どもたちに大人は何を伝えるべきなのか
,
いつも灘中の門の前でそんなことを考えてしまいます。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成