2017灘中1日目9
2017灘中1日目9解説図1
2017灘中1日目9解説図2
2017灘中1日目9式

今年度の図形は平面、立体とも割と取り組みやすかったと思います。

この問題はこうやって見るとすごく簡単なのですが、
実は合否にはかなり影響したのではないかと思い、取り上げてみました。

10番の問題は普通塾で学習するより、2手奥までやるのですが、
逆に塾でやるメジャーな技術でラボで使わないもので
メネラウスの定理というものがあります。
中学校で習うものでチェバの定理もあるのですが、ベンツ切りという名前で少し違う形で学習しています。(ベンツ切りというネーミングがいかにも関西っぽいですね…)

 

僕個人の意見としては、中学受験において、チェバの定理(純粋には違いますが)
区切り面積は必要ですが、メネラウスの定理は不要だと考えています。

この3つは図解すれば、下のような関係になっています。
2017灘中1日目9解説図3

僕が面積の問題を解く場合、まず相似系の問題かどうかを判断します。

そうでない問題の解決策として、上図のとおり、ベンツ切りは思っているより、
大きな中核をなす技術です。

 

もう一度、上の解き方をご覧ください。
ラボでなぜメネラウスをやらないかと言えば、図の点線が見えないからです。

図形を広げるタイプの補助線は、子どもたちにとっては思った以上に高いハードルです。

広げずにメネラウスにいった子どもたちはかなりの手間と時間を要したと思います。
手間はミスを誘発します。
極限状態でミスをしないようにするには、自分の解き筋が信じられるかどうかです。
5年生までは『とりあえず』分かったことを書き込んでいきましょう、ということがあるのですが、
それだけでは、合格には届きません。

 

6年生のみんなでこの補助線が引けなかった人は、少し勉強方法を考えたほうが良いと思います。
ベンツ切りも区切り面積も
5年で既習です。

 

僕はずっと、野球をやっていましたが、良いグローブを買っただけでは上手くなりません。
そのグローブにグリースをぬって、型を作り、いっぱい練習して、自分の形に合わせていくことがなければ、上達は見込めません。
ラボは
11月までで必要なことをすべてやるのですが、みなさんやりこんで試験会場に臨みます。
関西の中学受験の仕組みは、直前までテストによる演習です。
毎年感じる違和感なのですが、本当に直前期の過ごし方はこれでよいのでしょうか。
とある塾では、質問さえできません。
秋までにやったことで、通らないのならそれって一体何なんでしょう。
「速さの超難問」と「流水算のすべて」という本が本屋に並んでいたら、僕なら迷わず後者を選んでやって入試を迎えたいと思います。

 

ちなみに2日目の4まわり合同という、広げるタイプの補助線でした。

2日目の4は昨年度の数研の子どもたちが作った問題と全く同じでした。
「的中」ですね。

僕らは、問題を見た後に、問題の出典に対して、とかく後付けの理由をつけたがりますが、
そんなことより大切なことは、やはり校門が閉まった後に、あの中で一人で何ができるかということです。

 

僕自身は算数の苦手な子どもでしたが、灘校で塩崎先生に教えていただいて、数学の面白さに気づきました。
道具は人によって使い方が変わります。
狭い黒板の中で広がる世界に夢中になったことを思い出します。

塩崎先生は数年前、お亡くなりになられましたが、浜学園に勤めていたころ、いつも入試終わりに飲みに連れていっていただき、算数の話や、子どもたちの話を聞いていただいていました。

ある年、ふとそこにあった箸袋を渡され、「お前、これで正五角形作れるか?」と言われ、
しばらく思案したあと、僕がほろ酔い気分でくるりと結び目を作ると
「さすが算数の先生やな。なかなか、数学の先生の集まりでやってもできるやつおらへんねんで」
とあの人懐っこい笑顔で褒められたことがありました。
僕はとてもうれしかった記憶があるのですが、
今年の2日目の1番にその問題が出ていました。

 

今年度の問題に関して2日目の1番以外はラボですべてやってあげられたと思います。

また数日すると、来年のことを考えないといけないのですが、今年度と同じく大きくカリキュラムを変える必要はないと感じました。

 

正五角形を箸袋で作る問題は僕らがやってあげるべき問題ではありません。
おそらく灘でご一緒にやっておられた先生方のオマージュではないかと勝手にとらえています。

 

灘になぜ出したかと問えば、「出したいから出したと」

きっとそういう答えが返ってくると思います。

僕もたくさんの経験を積んだので、箸袋を折ることができましたが、
そんな語らいができるような子どもたちを育てていきたいと思います。

 

僕らが、やってあげた問題でないとできないような子ではなく、楽しそうに書いたり、空想したりできるような子どもたちを送り出そうと、またハードルが一段上がったなと感じた一問でした。

 2017灘中2日目1