(1)は変則8進法を使ってみました。変則8進法は一般的に塾では5年生で扱う内容です。
今年度、個人的に非常に疑問に感じたことが多かったのが塾の甲陽コースの指導でした。
甲陽コースは甲陽を狙うことが決まった段階で、「計算が出来ない」「図がうまく書けない」など弱点をかかえた子どもたちがたくさんいらっしゃいます。
私は、灘コースのスペシャリストのように思われがちですが、浜学園では入社以来辞めるまでずっと甲陽コースに携わってきました。
塾の役割は子どもたちの夢や希望が叶うように手伝ってあげることであり、子どもたちを選別することではありません。
先ほど、合格発表の現場から帰ってきましたが、塾から絶対に無理と言われていた生徒が合格していました。
たぶん、合格実績や合格率には数えられているのでしょう。
(2)は平均の考え方を使っています。000を加えて、192個にするのがポイントなのですが、
「できない解き方はしない」と塾では禁止だそうです。
ちなみに、300~は塾でやる基本の『位ごと』でやってみました。
N進法もデジタルの考え方もやってはいけないのだったら、5年のカリキュラムやテストから外せばよいと思います。
本番に向かう子どもたちを送り出す直前期、最も大切なことは子どもたちが自分でできることを増やすことです。
「お前はできないから算数は捨てなさい」「そんな解き方は甲陽コースとして認めない」「捨て問を作れ」すべて今年子どもたちが大人に言われたと言っていた指導法なのですが、このような指導は合格するための秘訣でもなんでもありません。
位ごとにたす方法は、手数が多くなり、計算が苦手な子どもたちは合う確率が下がります。
ラボでは、平均を使う考え方を優先し、そこにデジタルの考え方を加え、ダメならば場合分けをします。
甲陽合格のコツはなるべくできることを増やすことです。
西大和や洛南に比べ、問題数の少ない甲陽では逃げ場がありません。
逃げないように、僕たち大人はどうするのか、甲陽コースの指導に携わっている大人は今一度考えるべきです。
甲陽は算数のみならず、国語や理科も灘以上にハイレベルなことを要求してきます。
現場に立った人なら誰でも共感してくれると思いますが、今ここに立っていることがすごいことなのです。
子どもたちが願うなら、その場へ寄り添って連れて行くことが僕らの仕事です。
連れて行けない合格率8割になんて何の意味もありません。
最難関へのチャレンジは、それ自体に大きな意味があるのだと思います。
甲陽の合格を勝ち得たみなさん、おめでとう。
ここまで歩んできた過程は自分で歩んできた道です。
嫌気がさしサボったことも、悔しくて泣いたことも、そしてもちろん頑張ったこともすべてが合格へ歩んできたということなのです。
また新しい一年が始まります。最難関を本当に目指したいならぜひラボに来てください。
強い意志があるなら、いくらでも付き合います。
計算ができなくても、図が書けなくても、野球をやってても、別に構いません。
さんすうLAB.主宰 倉田泰成