さんすうLAB.のblog

さんすうLAB.(さんすうラボ)は兵庫県西宮市・夙川にある灘中、算数オリンピックを目指す子ども達のための中学受験算数専門の教室です。

2018年01月


2018灘中1日目11

直方体に切断の面・交点を書き込んでいくのが一般的ですが、

今回は底面の図だけを書いて解いていきます。

2018灘中1日目11解説図1

6×(12/3×3/5) × 5  = 18

  底面積             高さ

2018灘中1日目11解説図2

四角形を三角形2つに分けて、平均の高さを使う。

 

1.2×(3510/3)÷3 + 2.4×(355)÷3 = 224/15

 

ラボの授業では、底面の図だけ書いて、高さをカドに書きこんで解く練習を多く行いました。

この問題でも立体図は書かずに、底面の図だけで解いている子もいました。

武器は使いこむことにより、切れ味をここまで高められます

 

今年の1日目の問題は、色々な解き方で正解を出せる問題が多かったです。

手の打ち方の工夫が得点の高低を分けました。

 

一方、2日目は、出題者の意図を読み取り、それに沿って解いていくという、
コミュニケーション能力が問われる問題でした。
流れに乗れば、「そういうことか!」の繰り返しで、
最後の方まですぐに行けたと思います。
出題者の「優しさ」を感じられたなら勝ちです。

逆にいつも我流に固執している子は苦戦したのかもしれません。

 

2日目の形式が変わったと言われていますが、やることは特に変わりません。

大問の設定を正確に読み取り最初の小問ほど慎重に取り組む

問題文が長いということは、手がかりが多くあり、むしろ解きやすいはずです。

 

灘中に限らず、せっかく中学受験をするなら、
子供たちには、九九を覚えることの延長のような勉強ではなく、
算数を通していろいろなモノの見方を身につけて欲しいと思います。
視野が広がれば楽しいため、自然と
能動的な行動をとれるようになります。

 

その経験、方法論は、中学に入っても、大人になっても
さらに磨きをかけて子どもたちの武器となるはずです。

 

またこの1年、子供たちが自分で多くのことができるようになるよう見守っていきたいと思います。


さんすうLAB.上本町教室主宰 井筒安秀

 



 

2018灘中1日目10

ラボプリ27A6


ラボの後期授業では、正六角形を延長して正三角形を作り、区切り面積を利用する問題を扱いました。


本問も、延長して正三角形を作り、区切り面積に持ち込みます。

正三角形を作る場所は、1ヵ所だけでもいいですが、今回は3ヵ所に作ってみます。

2018灘中1日目10解説図

区切り面積で、3㎠が三つ、5㎠が三つ、8㎠が三つで、全体(正三角形)48

左下の正三角形は、÷9で、16/3

BCPは、3 5 16/3 で、8/3

延長して正三角形を作る場所は、1ヵ所だけでもできます。

自分が最初解いた時には、左下だけ作り、△BCPと△EFPの和が、正三角形2つ分であることを利用しました。

 

ラボの生徒が3ヵ所に作って解いたようで、その方が自然な流れかなと思い、今回は紹介しました。

 

いずれにせよ、「正六角形の内部点⇒延長して区切り面積」という見方を選択肢の一つとして身につけていた子はかなり有利に戦えました。

 

素手で戦う能力(いわゆる「ゴリ押し」)は当然身につけたうえで、
「こん棒」から「飛び道具」までなるべく多くの武器を準備して視野を広げておくことが大事です。

ラボの授業では、灘の入試で使う可能性のあるあらゆる武器を紹介していきます。

1年間は短いようですが、正しく練習すれば、かなりの数の武器を使いこなせるようになります。

さんすうLAB.上本町教室主宰 井筒安秀

2018灘中1日目9

反射の問題ということで、
「鏡の世界(線対称図形)⇒光を直進」と考えますが、

鏡の世界の書き方で正答までの時間が変わってきます。


BC
に関して対称な三角形だけを書いて解いた子もいましたが、

今回は、ABACに関して対称な三角形も書いてみます。

見た目にわかりやすい図形になります。
2018灘中1日目9解説図

〇と×の和‥76° ←青色の三角形に注目

〇と×の差‥ 6° ←赤色の三角形どうしに注目

 

和差算で、〇=41° ⇒ ウ=28°


多くの受験生は、最初、対称図形を付け足してつなげていこうとしたかもしれません。

それでいいと思います。
実際に手を動かしてみて、それでは複雑になりそうということで、
その時点で方針転換を考えればいいです。

今回紹介した解法でも、BCに関して対称な三角形だけを書く解法でも、どちらでも構いません。

 

最初にさっと手を動かしてみて、進むべき道を見極めることが大事です。

ここで焦って、変な方向に進んでしまうと、時間を費やしても正解にたどりつけなくなります。

近年の灘中の問題は、正しい方向さえわかれば、いわゆる「瞬殺」できるような問題が多いです。

 

今年の問題は、遠回りしてもなんとか正解にたどりつける問題も多くありましたが、近道する方が得点を伸ばせるのは言うまでもありません。

 

今年の1日目は、60分で11問ということで、1問にかけられる時間は結構あります。

過去の50分15問の時代とは、求められる能力も変わっています。

処理スピードは二の次で、まず自分の頭で柔軟に考える習慣をつけるべきです。

さんすうLAB.上本町教室主宰 井筒安秀

2018灘中1日目2

2 2 2 … 2 22  8あまる

3 3 3 … 3 33


3
 3 3 … 3

4 4 4 … 4     8あまる

8あまるが同じ和に注目で箱の比が75

2×⑦+83×⑤

①=8

2×568120()

3×56168()





他にもいろいろな解き方が考えられますね
2018灘中1日目21解説

オレンジは12の倍数,だからりんごは24の倍数

 

どれも解けてしまいます。
今回の合格者の平均が上がった理由はここにあります。

僕が選んだ解き方は、『問題の特徴から』

2つ目は、ただの式

3つ目は、数そのものの性質です。

自分の頭の使い方は、
『まず自分がやりたいことではなく、問題のいいたいことを考える』
という姿勢なので、上の解法が最善だと思うのですが、
今回はそれ以外でも解けてしまうので、
受け入れ幅が広いタイプの作問だったと思います。

 

ところが、この問題を過去問として、学習する次年度以降の受験生はどう捉えるべきでしょうか。

 

最近子どもたちの答案を見ていて、独りよがりの答案を見受けることが多くあります。

子どもたちはそうならないように指導していくのが僕らの役割なので、仕方のないことですが、
問題は指導していく僕らの側にあります。

 

ラボでは、解説を読むことを極力させないようにしています。
子どもたちに、少し自分で歩かせて
それではゴールに近づけないときは修正し、
ゴールに近づきそうなときは、寄り添っていきます。
そのうえで、他にもっといい道があれば、視野を広げる目的で紹介したりします。

 

塾の解説が2つ目だったら、この問題が灘の過去問だからという理由でやるだけで、
もしかしたら連立方程式計算問題集のほうが効果的かもしれませんね。

特にこういう問題を学習するときは、時間内に、出来た、出来ないでは意味がありません。
その訓練しか積めていないと、今年度は2日目で通用しないこととなります。

 

ラボもおかげさまで、広く認知されてきたので、特に直前期には数多く問い合わせをいただきます。
よくある内容が、でるところを教えてくれという内容なのですが、
基本的に答えないようにしています。

 

灘中の算数において、予想を張る学習は敗者の戦法です。

僕がもしN進法がでるといえば、N進法しか思いつかなくなります。

次回から、2日目の解説を予定しておりますが、
一つの問題で複数の手を想起するのが2日目の頭の使いかたです。
部分を見て、かすったのが合格するレベルではなく、
問題に関連する手をすべて思い浮かべて、問題の要求に応え、
かつ自分の考え方を主張するのが合格答案です。
何番の小問が当たったということは、それ以外は外れたということです。

灘と全く関係のない人々がそれで、盛り上がっているのは結構ですが、
子どもたちの視野を狭めることが、何よりの不合格への道であることを踏まえて、
ヤマをはっていただきたいと思います。

 

入試の送り出しのとき、100%の力を出し切れという方がいますが、それは無理な話です。

ラボでは、一緒に頑張ってきたことの半分出せれば、合格する
と言って送り出すようにするのですが、そのための1年なのです。

灘の校門の前では、なぜだか分かりませんが、涙が出そうになります。

でも、なるべく笑って、いつもの自分で大丈夫といってあげられることが、
多くの時間を共に過ごした、一緒にやってきた仲間として大切なことだと思っています。


さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2018灘中1日目6


119868
1176002268

1176×2227684
117684で割れるので84の約数 x28

2268÷10022.68

X22681176の公約数です。

塾では小5でやるユークリッドの互除法的な考え方を使ってみました。

一般的にはタイルを敷き詰める問題でやるのですが、ラボでは線分図でイメージします。
2018灘中1日目6解説図

このようにイメージ出来れば、A2倍とBの差の中にも、
公約数があることが、発想できます。(2行目)


また、
4行目は、2桁であることから『範囲を絞り』ました。

『範囲を絞る』は盲点になりやすいので、
特に強調して数を解くとき、頭の上層においておくべき論点です。
ただ、今年の問題はそれを思いつかなくても解けるので、難易度が下がったのだと思います。
今回は随所にそういう場面がありました。

 

ところで、みなさんは何をもって、入試の難易度を判定しているのでしょうか?

自分の場合は、灘の入試を分析するさいにおいて、もっとも大切な数値は合格者の平均だと思っています。

特に今年度2日目は、見た瞬間に、昨年度より簡単だと感じました。
なぜなら合格答案を作れる子どもたちの気持ちになった場合、
問題が親切で、打つべき手を迷うところがありませんでした。
昨年度の最後の問題はやはり、書き出しから入るべきでした。

解答欄から9とおりは推測できるのですが、
書いたものをじっくりとながめれば、(3)以降の方針が立つという仕組みなので、
少し戸惑う部分もあったと思います。

 

今回、大問が4問に減ったのですが、形式が変わったことは、
合格者にとって大した問題ではなかったということが分かりました。

2日目当日、体育館で問題販売の際、大人たちは一瞬ざわめいたのですが、
夜に、ある生徒が
「裏から見て、4問って分かったとき通ったと思ったわ~」
とメールをくれました。

 




明日は、卒業生のみんなが遊びに来てくれるようです。


 

また、新しい季節が訪れます。

変わっていくこと、変わらずにいること

しっかりと、伝えるべきことをきちんと伝えて、
自分で、自分の未来を歩んでいけるようなものを育んでいきたいと思います。

 

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

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