さんすうLAB.のblog

さんすうLAB.(さんすうラボ)は兵庫県西宮市・夙川にある灘中、算数オリンピックを目指す子ども達のための中学受験算数専門の教室です。

2019年01月

2019灘中2日目4
(1) 2019灘中2日目4解説1
赤と青の長方形の面積がa cm2なので、
□×横+□×縦=2×横+2×縦
 【面積】     【周りの長さ】
□=2
また、図形式から
2019灘中2日目4解説2


(2)
□×横+□×縦=(2×横+2×縦)×2
 □=4
4×4=1×16 ⇒{(1+4)+(16+4)}×2=50
   2×8  ⇒ {(2+4)+(8+4)}×2=36

(3)

2019灘中2日目4解説3

右上の長方形が24のとき
  1×24  ⇒周りの長さ=66
  2×12  ⇒周りの長さ=44
  3×8   ⇒周りの長さ=38
       4×6   ⇒周りの長さ=36

2日目の合格者の平均から考えると、大問1大問2が比較的簡単だったので、後半の3問でどれだけ手を動かせたかが合否のポイントだったと思います。
なかでもこの大問4は誘導にきちんとのっていくと最後まで詰まる部分がなく、かつ作業ミスもないので、大きく合否に影響を与えた一問だったと思います。

実際(2)までは、金曜日に遊びに来ていたラボの生徒たちはほとんど取れていたようです。
この問題の思考の流れを分析してみましょう。

2019灘中2日目4解説4
右辺のかけ算のビジュアル化は面積図が第一手なのですが、今回の説明文は左辺の足し算の式を面積図の中に書き入れる方法を示唆しています。

恥ずかしい話なのですが、問題購入後、次の学校へ向かう電車の中で、問題を眺めるのですが、そのときには説明文を読まずに、先入観で長方形の内部点定理と相似、比例式を使って頭の中で答えを出しました。

電車を降りて、人目につかないところで、鉛筆を使って解き始めるとき、やはり数学的で気持ち悪いので説明文を読んで、問題に入ると気持ちよく最後まで解ききることができました。

(X+Y)×2=X×Y
(X-2)(Y-2)=4…(1)
同様に
(X-4)(Y-4)=16…(2)
(X-4)(Y-4)=24…(3)

これは数学側から眺めた解答です。
今回の説明文はまぎれもなく、算数的思考です。
灘中入試に数学の素養は必要ありません。
どちらかと言えば、問題が提示するコンセプトを読み取る思考が必要です。

『何が言いたいかを読み取る力』は、論理力というより、広い視野です。
図がかけ算を示し、説明文が和を示すということが分かれば、この問題の出題意義が分かります。面積図の用法を暗記しているようでは、見えないですね。解説中の【 】で書いてある部分が頭の使い方です。

これから数学を学ぶ子どもたちに数学の先取りではなく、数学だけでは学べない広い視野を身につけてほしいと思います。

『式でやるのは、簡単で面白くないもん。なんかほかの表しかたない~?』そんな新灘中1年生の声が聞こえてきそうな良い問題だと思います。

『太郎君はア+イの計算をするところを、ア×イとしてしまったため、答えが2倍になりました。アとイに当てはまる数を求めなさい』

元ネタのヒントはここまでです。来年度の灘中入試では、1日目大問7のように、うまく利用して出題してほしいと思います。

ちなみに左上の長方形を積に替えると、No.38でやった図形の問題になります。来年以降、マークするところなので、授業ではより丁寧に扱いたいテーマです。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2019灘中1日目12
2019灘中1日目12解説1
真正面からみた図⇒奥行きを書き込む(正六角形の1辺を6としています)⇒高さ平均 2019灘中1日目12解説2
1日目最後の問題です。
図形は比較的簡単だったと思いますが、この問題は、徳島文理中学校の問題とまったく答えも同じでした。
中学への算数の20〇〇年〇月号(立体の号ではありません)にも取り上げられていた問題なので、もちろんラボでもすい体の回で扱いました。
〇学園の灘中オープンにも全く同じ問題が出ています。(2日目ですが…)
今回は、高さ平均を用いて解きました。
上の解法は、授業で行ったのと全く同じ解き方です。
夏休みNo.25の回ではすい体の特集をしています。
すい体は底辺と高さを見つけましょうという超基本から始まり、最後に平行に切ったときは、その前の回の柱体でやった真ん中底面を使った、高さ平均のほうがいいのではないかというサジェスチョンで終わるというのがその回の授業のコンセプトです。
ラボプリ25A10

この問題が、答えまで同じで的中したということは、本質的な合否とは関係ありません。
すい体に対してどれだけのアプローチがあるのかを追求していくとその流れのなかで、
この問題は、すい体の基本技術のうちの、最終の技術であると位置づけることができます。
2日目に出題された作図とは本質的にちがい、すい体をどの方面からでも見ることができれば、
仮にやってなかったとしても取れる問題だったと思います。
ちなみに中学への算数の解答は6つのすい体に分割しています。
この問題を考えて的中させたというのは、出典が分からないからですかね。
いろんな塾の予想問題をたくさんやると知識が断片的になります。
オープンで、過去の誰かがとってきた問題をこれが出るとか言ってやらされて…
そこに子どもたち自身が、存在する余地は残されていません。
灘の算数を解くのに必要なのは知識の量ではありません。
この場面で、こうするんだという強い意思決定です。
人間が問題を解くという行為は『僕はこういうことができる』という主張です。
ごまかさず、自分の言葉で取り組んでいけば、解けない問題なんてなくなります。
中学受験の主役は子どもたちです。
その子どもたちが12歳で何ができるのか、学力も含めていろんな大切なことを考えさせられる入試だったと思います。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2019灘中1日目9
_ 2019灘中1日目9解説
正三角形の風車切りです。問題と見比べてわかるとおり、必要な技術は図のイメージを浮かばせることだけです。
ラボでは7・5・3の作図から入って、中高一貫校で用いているZ会のアドバンスドテキストの作図問題を小学生風にアレンジして2問続けて作図してもらっています。
ラボプリ12B345

やはり自分で作図することは勉強の基本ですね。
この問題は本来簡単すぎて、書く予定はなかったのですが、卒業生のかたから、書いてほしいというリクエストがあったので書きました。
ネット上ですごい(笑)解き方を発見したようです。

今日で洛星の後期入試が終わり、関西の最難関といわれる入試はすべて終了しました。
このブログも塾の関係者の方々や、子どもたちも多く見ていただいているようなので、あえて書かせていただきたいのですが、せめて今日までは問題の感想や的中というのは差し控えませんか。
今年の1日目は平均点を見てわかるとおり、結果的に上位で合格している子どもたちのなかにも苦しんだ子もいました。
灘コースをやったこともない、灘を受験したことがないかたに、あの2日間の子どもたちの心のひだひだは分からないのかもしれませんが、あの1日目の夜に、自分が信じて通っている塾の先生が、簡単だったとか、的中したのにできなかったのかとか言うのでしょうか?
僕も自分が正しいのかなんて分からないのですが、子どもたちの前だけでは頑張って笑顔でいようと思っています。
新受験生のみなさんは、どんな状況も乗り越えられる広い視野と、折れずに解き続ける強い力を身につけてください。
予想や過去問の反復とは似非(にてひなるもの)です。
まっすぐに自分の道を自分らしく歩んでほしいと思います。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2019灘中1日目7
2019灘中1日目7解説1
今年の1題を僕が選ぶならこの問題でしょうね。 過去問をやっていない人には意味が分からないと思います。
2019灘中1日目7解説2
図の赤線は次郎の進んだ道のりです。加比の理を用いて、最初は2倍しています。 往復を全体と捉えて、次郎の進んだ割合を分数で表すと
2019灘中1日目7解説3
もうお分かりですね。分子分母等差数列なので、混合の考え方が使えます。2019灘中1日目7解説4
2015年度2日目の大問2の(3)と同じ問題です。
そう意味においては全塾的中ですね。
この問題の面白さは、前回は食塩水がテーマでしたが、速さの問題として、出題されたことだと思います。
よく、単元別の過去問集などをやらされている子どもたちを見かけますが、それでは、この問題は解けません。
この問題の本質が見えるところまで目線を上げられるか、もしくは『分子分母等差数列』のように、汎用できるレベルまで、言葉のポイントに落とし込んでいくかです。
ラボでは、『ノートをまとめる』ことを推奨していますが、自分の言葉で表現できない問題演習は意味がありません。

まあ、そもそも分子分母等差も分からず、短めの時間を計ってトレーニングさせて、時間配分とか5割死守とかって…

他にも大問4,大問8などは過去問の応用でした。
最近の過去問特に時間を計ってやるより、解説を自分で作るようにやるのが効果的だと思います。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2019灘中1日目3
2019灘中1日目3解説1
(2+3+…+9-10)÷2=17 GとHは8と9   2019灘中1日目3解説2
この問題のコツは一番上のイメージ図です。このように俯瞰できれば答えまで一直線ですね。 例えば,AとDを勝手に決めるから入ると、遠回りというか、いちいち一つ一つの文字決定に面倒さが生まれるので、解いていて、体が遅れる感じがしてしまいます。 灘の問題に取り組むさいには、決め打ちをせずに、全体を眺めて、問題は発する特徴を見逃さないことが重要です。

さんすうLAB.主宰 倉田泰成

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