この問題を通じて今年度の灘中入試の本質に迫りたいと思います。
受験生のみんなはまず(1)を解きます。
いいえ、例を解きます。
例を解いてルールをしっかり理解するとともに、
灘中が着眼してほしいことが何かを考えます。
この2つを見比べて、何か気付くことがありますか?
2つとも2数の差が3になっています。
このことから周りの6つを見比べると、
(黄-赤)÷5=差の3になっています。
同様に、和に注目すると
(黄+赤)÷3で真ん中2数の和が求められます。
ちなみに灘中は、マイナス(負の数)が中学過程であることを考慮して
(1)~(3)まですべて、右側が大きくなるようにしています。
消去算でがんばった人も多かったのでしょうね。
(4)、(5)はこれで着眼点がつかめました。
斜めの差の規則が見つかります。
ここから先は考える楽しみがなくなってしますのであえて伏せておきます。
灘中の先生方には来年も今年と同じように良質なパズル問題を期待しています。
ラボでは、今年度2日目③がそのまま出ましたが、
その回の学習事項で例の利用というテーマをひたすらやっています。
問題そのものの解き方というより、灘中がどういう趣旨で問題を出しているのか、
問題そのものだけでなく、問題用紙すべてから発するメッセージが汲み取れたかどうかだったと思います。
問題の解き方や定理を一生懸命覚えても、使いこなす視点がなければまったく歯が立ちません。
当たることに意味はありません。
どんな問題も自分が汲み取ってあげることができるのが本当の学力です。
学問に近道はありません。
確かに、灘中入試は20分で解けますが、
その何十倍もの考え方を持っているものがきちんと答えを導けるのです。
受験は生き方の縮図です。
小さい体で、チャレンジする子どもたちには
まっすぐ真正面から自分らしく歩んでほしいと切に願います。
さんすうLAB.主宰 倉田泰成