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さんすうLAB.(さんすうラボ)は兵庫県西宮市・夙川にある灘中、算数オリンピックを目指す子ども達のための中学受験算数専門の教室です。

カテゴリ: 灘中入試解説

2021灘中1日目5

A×A115の倍数

 

(A1)×(A1)35の倍数なので

A3で割って12余る

  5で割って14余る

 

2021灘中1日目5-2

 

今日の洛星で2021年最難関の入試日程がすべて終了しました。

今年度の算数は、平均点が過去5年で最も高くなり、明らかに易化し、算数1日目は100点が複数でました。ラボだけでも3人いたので全体ではかなりたくさんいたことが推測されます。

 

このような2021年灘中入試において、特筆すべきは合格者平均83.0に対する全体平均65.1の乖離です。

 

今年度、ある関係者の話によれば、コロナ禍により、首都圏からの受験者は合格可能性の高いものだけに絞り込まれたそうです。

 

倍率の低下と首都圏の合格率の高さはこのことに因るものだと推察されます。

それなのに、約18点もの差が1枚のテストでついたのです。この数字は過去5年間で最高の数字です。2年前、算数の点数異常に低かったときは、49.838.511.3でした。

このように考えると、簡単な年度ほど、1日目の重要性が増すことが分かります。

 

易化の最も大きな要因として考えられるのが、過去問との類似性です。

そしてそれと並ぶくらいの大きな要因が検算の容易さです。

1日目、最後の立体は全くそのままでした。その他図形は基本的な問題が多く、数の単元も答えを求めるだけなら下手なやり方でもすぐに見つけられるので、全体的には難易度が低いテストだったように思われます。

 

さて、本問なのですが、『あまり分類』の割合の考え方を使って解いてみました。

ラボでは、灘の過去問と、最終回にもう一度この公式の考え方をやっています。

 2021灘中1日目5-3


2021灘中1日目5-4

 

今年度はコロナ禍で変則的な日程の講習等が多く、6年生として然るべき成長過程を経ることができず、受験を迎えた子どもたちも多かったものと推測されます。

 

幸い、ラボでは1回目の緊急事態宣言後すぐにリモートとの併用が準備でき、学習が続けられたこと、みんなの協力でコロナの影響を最小限に抑えて、受験を迎えることができました。

 

今年一年で強く感じたことは、夏の過ごし方です。例年、夏の人生を決める大きな模試に向け『自主勉強』をするところが、小学校の夏休み短縮による、夏期講習の詰め込みで学校対策ならぬ自分対策が不十分なまま2学期からの演習期に突入し、仕上がりの遅さの一因になったように感じました。

 

特に過去問に対するアプローチなのですが、過去問を教材としてそのまま扱うのは、秋以降、少なくとも一通りの本番で使う技術が出そろった時点が適切であると言えます。

学習の順序として過去問→論点ではなく、論点→過去問 だということです。

 

一部の塾や個別では、「灘中に対応するには、5年生からやらないと間に合わない」などというもっともらしい理由で「作る手間の要らない教材」をやらされています。

 

今回の入試でこの傾向が強くなることに対して、一度考えてみたいと思います。

下の問題は20142日目4の過去問です。

 2021灘中1日目5-5

 

形式的には過去問と同じですが、本質的には上記の2問と同じ問題です。

 

A×A17で割ったあまりなどという問題を灘模試で出すなら、この本質的なことが分かっていないものが作成したということになります。

15でも17でも2022でもセットごとに頑張って調べましょう()

 

 

1日目は、誘導がないため、自ら判断しなくてはなりません。

では、そのためにはどのように過去問を活用すればよいのでしょうか。

 

文章が長くなったので次の問題で、さらに論議を進めたいと思います。

 

 

さんすうLAB.主宰倉田泰成

2020灘中1日目9

2020灘中1日目9-2

「同じものに注目」します。 

ABCE長さが等しく、印〇の角の大きさが等しい

 

ACEの中に、同じ長さ・同じ角度が重なるように△ABCを重ねます。

ACFが二等辺三角形になり、垂線を引くと、AGFG=2㎝

 

ACG=△CFG=② △CEF=△ABC=⑤

CEGと△ECDは合同なので、△ECD=⑦

 

(②+②+⑤+⑦)÷⑤=.

 

 

ABCEを重ねて、等脚台形を作って解いた子もいたようです。

 

いずれにせよ、今回は「同じものに注目」して、色々試してみれば、糸口がみつかります。

灘中の1日目の問題は、あまりすぐに解法を決めつけず知恵の輪をカチャカチャするように、リラックスして自分の持ち手を試していくことが大事です。

良い手がみつかれば、知恵の輪はスッと外れるでしょう。

 

 

自分の持ち手を増やすためには、ラボの教材にじっくり取り組んでください。

授業で学んだ考え方を、実際に自分で使って体得する。ラボの個別演習にあたる部分です。

さらに、後日授業のインパクトが薄れてきた頃に、再度取り組むことも大事です。

 

 

「聞いて理解する」と、「自分で使える」とは次元が異なります

「スポーツを観戦する」と、「プレーする」との違いくらいあります。

 

 

「自分で使える」ようにするためには、まずしっかり「練習」する。

「練習」を積んだ上で「試合」をする。問題集・模試等の初見の問題を解くことです。

「試合」で自分の弱い所がみつかれば、そこを再度「練習」する。

ラボの教材を解きなおすことです。

 

よくあるのが、ひたすら「試合」はするけど「練習」はしない。

教材・講座等、手を広げすぎて、ただこなしているだけの状態です。

楽しいかもしれませんが、強くはなりません。

自分のできないことに向き合い、できるようにしていきましょう。

 

 

昨年ワールドカップでブームになったラグビーで例えてみます。

ラグビーでは、パス、キック、タックル等の様々な技術が必要となります。

それぞれの技術向上の練習を日々行った上で、試合をします。

試合中にパスができていなければ、後日パスに特化して練習を行い、次の試合に向け修正します。

試合ばかりしていても、試合中にパスする機会は少ないですし、何度も同じミスを繰り返すことになるでしょう。

 

大一番の絶対に勝たなければならない試合で正確にパスを通すためには、あらゆるシチュエーションを想定して練習を積まなければなりません。

中学入試も一発勝負。

ラグビー日本代表がスコットランド代表に挑むのと同じくらいの準備をして臨みましょう。

ラボで学んだことすべてを「自分で使える」ようになれば大丈夫です。

 

得手不得手はあるにせよ、勉強もスポーツもその他のことも、上達の方法論は大きく変わらないように思います。

算数の学習でも、「練習」「試合」を明確に意識することが大切です。

ラグビーでも何でも自分がイメージしやすいことをもとに、算数に取り組んでください。

 

夢をかなえるために、できないことをできるようにしていきましょう。

 

 

さんすうLAB.

上本町教室主宰 井筒安秀

 


2020灘中1日目5

2020灘中1日目5-2
No.33Bで、同様の問題を扱いました。
2020灘中1日目5-4 33B

授業では、パスカルの三角形を書き、道順の問題と同様、5段目に出てくる数が、

左から、C C C C C C になることをまず説明しました。

灘の問題に書いてある、1 5 10 10 5 1 の部分です。

 

そして、下のような計算をして、「10」という2桁の数が出てきた時には、「繰り上がり」が発生することを確認し、注意するポイントとして意識づけました。

 2020灘中1日目5-3


今回の灘の問題では、誘導があり、コンビネーションCの計算結果も与えられているため、

ただ数字を縦に並べて足し算するだけで済みました。

「繰り上がり」の仕組みを学んでいたラボ生にとっては、与し易い問題でした。

 

授業で扱った問題は、答えを出すだけなら、ゴリゴリ計算でもできますが、

奥にある世界に踏みこむことにより、算数の本質に慣れ親しむことができ、

灘中の入試問題も楽しく解けるようになります。

 

さんすうLAB.

上本町教室主宰 井筒安秀

2020灘中2日目1
2020灘中2日目1-2

(1) (2)と同じやり方なので割愛


(2) BA100m/

   A 50m/

   B 150m/

  それぞれのダイヤグラムは点線部

  そのうち最も少ないもの(図の青線部)が答え→グラフ3

 2020灘中2日目1-3
簡単ですね。自分で↑のダイヤグラムを書けば簡単です。

自分でダイヤグラムを書くときは、自分でメモリを打つことがとても大切です。

(1)の存在理由が分かれば、やるべきことがすぐに見えます。

 

今年度の結果が出ました。

合格者平均が1日目72.02日目71.2と過去5年間で最高、易化ということがいえます。
その一方で、合格者と受験者の平均の乖離は
32.4で過去最高、
算数が解けなかった受験生には最も厳しいものになったということができます。

 

この問題も(1)がヒントになっていて、300mを全体とする図を書けという指示を読み取れば、
上の図が裏面に書けるので、簡単に解くことができますが、

場合分けや、(2)のグラフに直接書き込みをすると大きく時間をロスしたり解けなかったりしてしまいます。

 

こういう問題はやはり、自分でダイヤグラムを書く経験があれば、イメージがつかみやすかったと思います。

 

最近の塾の傾向として(灘の傾向ではありません)ダイヤグラムを図形として捉えて、問題を作成したり、解かせたりしすぎだと思います。

ダイヤグラムは速さの整理の一形態であって絶対的なツールではありません。
灘中にダイヤグラムがでますとかいう意味の分からないことをいう人がいるのですが、

『ダイヤグラムをどうやって解くか?』

『ダイヤグラムをどう使うか?』

が大切です。

2017年の2日目の速さの問題は、僕は平均速度の天秤と線分図がお勧めですが、
ダイヤグラムで解くなら、子どもたち自身が自分の言葉で解けないといけません。

ダイヤグラムの基本の3手目で平行四辺形をつくるというのがあるのですが、それだけで解けます。

1日目にも書きましたが、個別などで、影武者などを習ってその子が自力で解ける問題がふえるのでしょうか?

 

頭の使い方が上手な人は点ではなく線で物事を考えることができます。

ダイヤグラムを使うときも考える順序があります。

影武者が最適解だとか子どもに指導するのは、灘対策どころか、むしろ弊害が大きいと思います。

なぜなら、思考の流れを整理することがどんな問題も解けるということだから。

 

2017年の問題はもう一度解き直すべきではないでしょうか。

なぜなら、ダイヤグラムの基本だけで鮮やかに解けるから。

 

僕がテキストを作成するさいに、最も気を遣うのは、鮮やかさではなく、論理の強さです。

 

案外、最適解は最適ではないです。流れをつかむというのは2日目対策において最も大切なことです。

さんすうLAB.主宰
倉田 泰成

 

 

 

 

 

2020灘中1日目11

2020灘中1日目11-2

2164×104×14120

 

4×4×4×2個-2×2×2120

 

まず、元になる立体である1辺が6cmの正四面体を作図します。

 

①のやりかたは、

2020灘中1日目11-3

に注目して


②のやりかたは

2020灘中1日目11-4

に注目しています。

上でわかる通り、最後の問題ですが非常に簡単に解くことができます。

 

この問題を解くプロセスは

『もとになる立体を作図』

⇒『真ん中底面として平均の高さ』もしくは『すい体の重なり』

 

この問題は典型的な5年生には難問で、6年生の合格者にとっては簡単な問題です。

まず、問題文のどこにも書いていない6cmのすいを書かなくてはいけません。

そのあとの①の式ですが、分かる人はこの式が立てられます。

ラボでは、夏休みに徹底的にすい体の体積の求め方に取り組みます。
もちろん、柱体も取り組みますが、すい体に平行線がでてきた場合には、
柱体としても捉えられるよということをやります。

五年生のときは、基本的で面倒な式を立てるのですが6年の夏時点で、
上記の式で解けるように少しずつ変化させていきます。

 

実は、この解き方を変化させることが重要です。

 

塾の先生のなかには、最適解なるものがあって、それを覚えようという指導をされるかたがいらっしゃいますが、最適解とは一体何なんでしょうか?

 

本番の入試では、子どもたちにベストを発揮してほしいと思いますが、
本番の算数に送り出す側の僕たちが気を付けなければならないことは
ベターな選択肢を正しく選べるようにすることだと思います。

 

ラボでは、夏までに技術のひととおりに触れられるようにカリキュラムを組んでいます。

夏休みには、これまで習ったことを順序よく整理して、取り出せるようにしていきます。

そして秋、困ったときに自分で正しい判断ができるように自分の言葉で話せるようにしていきます。

 

どんな問題も解けるようになるには、たくさんの問題をやるのではなく、
きちんとした考え方、もっと深く言えば、自分なりの確固たる判断基準を持つことが大切です。

 

これが出ます‼

あきらかに、負け組の論理ですね。直前期に、僕が心がけていることは、子どもたちのできない部分をなくすことです。
レベルが上がれば上がるほど、登山と同じように一人で渡るのが危ない部分が出てきます。
図形ならば作図、文章題なら式以外の手の打ち方と着眼点、
そこをきちんと自分の言葉で埋めていけば、何回受験してもどんな問題が出てもできないことはありません。

 

『予想問題』『時間短縮』厳しく言えば、ここに敗因があるのです。

塾の先生がたもたくさん読んでおられるようなので、あえて書きますが、
実績が下がったのはラボの子どもたちがたくさん合格したからではありません。

しっかりと会議をして、原因を考えないとだめだと思います。

 

答案作成の練習をしましたか?

困難を乗り越える意思決定ができますか?

 

灘中受験は甘くはありません。でも、全くのミスの許されないF1レースのような競技ではありません。

今年も夙川、上本町から1日目、2日目とも100点の受験生が出ましたが、100点の勉強をしたわけではありません。
300点、400点というその何倍ぶんもの力を持ったラボの子らの将来はとても明るいと確信しています。

さんすうLAB.主宰
倉田 泰成

 

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