【解説】
合同回転で色をつけた三角形は合同
三角形FHIは二等辺三角形
(180−54)÷2=63
180-(54+27)=99
今年度も始まりました『灘中入試を20分で解こう』
さんすうLAB.で『過去問WEB講座』を開設したので、辞めようと思っていたのですが、
多くのかたのリクエストをいただき(主に塾関係の方ですが)数問だけ扱ってみようと思います。
今年度は、データが示す通り近年でもかなりの易化であり、灘中らしい問題は少なかったと思います。他の最難関が軒並み良問をそろえてきたので、少し残念なところもありますが、その中でも灘中らしい学習効果の高い問題を題材として、これからの灘中対策について議論を深めたいと思います。
弊著、『問題を解くということ』もおかげさまで、ずっと売れ行きが好調で、今年度中に第二弾『灘中入試問題の解説の解説』を出版すべく執筆中です。
今回のブログは、それと同様に灘中の入試問題の単なる解法だけでなく、その解法をいかにして考えるか、またそのためにいかなる準備をすべきかということを主に述べたいと思います。
さて、本問ですがキーワードは『合同回転』
今入試で合格した子どもたちもこの『合同回転』を口をそろえていっていました。
またその中でもさらに印象的だった言葉を抜粋します。
『…、正方形が2つあって…』
まさしくこの言葉がこの問題の本質です。
FHに五角形の対角線と同じ長さの補助線を引くことが今回の解法ですが、そのためには色をつけた三角形が合同であることを見つけなくてはなりません。
私の教室ではこの考え方のことを単に合同ではなく、合同回転という言葉で学習しています。
同じ長さの2組の直線(CDとFD,ADとHD)が同じ角(本問は正方形の90度)がこの形をイメージするための突破口となります。
『合同回転』という四字熟語は『合同』と『回転』という2つの要素から成り立っています。
ラボでは算数における技術として『言語化』を最重要視して指導しています。
合同回転や直角クロスなどはその最たる例で、このように分かりやすい名前をつけるということは知識にタグ付けをするようなもので、平たい詰め込み学習にくらべ、格段に本番で発揮できる可能性が高くなります。
最近、町にいっぱいできている『ちょこザップ』というジムがあります。
ライザップが手掛ける手軽なジムですが、とても素敵なネーミングだと思いませんか。
このネーミングが素晴らしいのは、この短いキャッチーな言葉だけで何をやっているのか私が説明をする必要もなくなんとなくイメージできることです。また、今回の件とは関係ありませんが、ライザップという本体のネームバリューも高める効果もあります。
図形はこのように言語化して対策するとかなり取りやすい単元だということができます。逆に類型化せずドリル形式では、本番のときにアイデアは出てきません。
ちょこザップとユークリッド互除法ってどちらがそのものの本質を言い当てていますか?
次回はカプレカ数についてです(笑)。
さんすうLAB.主宰
倉田泰成