さんすうLAB.のblog

さんすうLAB.(さんすうラボ)は兵庫県西宮市・夙川にある灘中、算数オリンピックを目指す子ども達のための中学受験算数専門の教室です。

2014年01月

2014年 灘中1日目9  灘中入試を20分で解こう②

2014灘中1日目9
今年度の図形はどれも平易でした。

7 中心から垂線を引く  
8 台形ペケポン+グラフの考え方

10 分けて隣辺比 
11 パップスギュルダンの定理

と解き方を悩む部分がありません。

9もそういう意味では簡単なのですが、この問題が簡単と思えるかどうかに

合格のヒントが隠されていると思います。

 


まず、時間()を比で表し、横から見た図を書きます。

水問題における断面図解法(水そうグラフ) 
60cm以上は不要なので書いていません。
2014灘中1日目9解説図

次にセンターラインを引きます。
2014灘中1日目9解説図2

?=2.7×38.1

6.38.114.4()14()24()


この問題が簡単な理由は、この解きかたが過去に出題されているからです。

平成52日目5で最初に出題され、その後もう一度1日目で出題されました。
また東大寺でもほぼ同じ問題が出ています。

 

いくつか書かれている解説を見ると、延長したり、
台形ピラミッド=平行線などとおっしゃっているかたもいらっしゃいます。

 

この問題を今回取り上げたのは、過去問に対する取り組み方です。
台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2 
台形の面積=センターライン×高さ
台形の面積1つとっても2つの考え方があります。


このように勉強していけば、
俗に言う『ひらめき』の力が養われるのではないでしょうか。

よく、教育相談で『ひらめき』が足りないとかいうかたがいらっしゃいますが、
それは先天的なものではないと思います。
視野の広さは授業を通じて伝えるべき最優先事項だと考えます。
灘中必勝パターン
200、的中問題…
自ら自分を保護するために壁を作っていませんか?
壁の外に新しい世界があります。


絶えず新しい考え方を模索し、新しい世界に飛び出していくこと、
それが毎日は無理でもそういう姿勢で勉強に臨むことが
灘中合格に向かって歩んでいるということです。


つるかめ算=面積図ではありません。
面積図にはどういう利点があるのか考えることが大切です。

台形の公式=(上底+下底)×高さ÷2ではありません。
台形にはどのような特徴があるのか考えることが大切です。


ちなみに、パップスギュルダンの定理はどういう形に適応できるか知っていますか?


体積=面積×重心の移動距離

表面積=まわりの長さ×重心の移動距離


某大手塾の灘中特訓では、三角形と正偶数角形と教えられますが、
正解ではありません。

ヒントは、体積と表面積は適応する条件がちがいます。
よく公式の意味を考えれば分かるはず。
これは
0組でやると必ずうける鉄板ネタなのでここからは書きません。
ネットで検索しても無駄です。
意味を考えること、自らの手で模索することがもっとも大切です。



さんすうLAB.主宰 倉田泰成



2014年 灘中2日目 2 灘中入試を20分で解こう①

灘中2日目2

2014灘中2日目2解説

たったこれだけです。図さえ必要ありません。

この問題が簡単に解ける理由は2つあります。
(2)の式中の、太字の『×3は、和に注目する考え方のなかでも、
最も基本的な考え方である
N回目の出会いというもので
ラボの教室生に限らず、一般的な受験生なら誰でも知っている考え方です。


☆(1)で求めた値を使わないで比を用いること


☆ダイヤグラムを使わないこと


ところが、この考え方を使えず、
「灘の速さ=ダイヤグラム」とかいう意味のない学習をしている受験生は、
頑張って正答に近づこうとして、手数、時間をかけて
不正解に近づいてしまったのかもしれません。


ラボでは、あえて、前期のダイヤグラムは最終回に、
後期は真ん中の回
に持ってきて、

まず、ひたすらに問題に対する切り口(視点)を身につけるように指導します。

例えば今年度に限らず、昨年度の灘の速さは『同じ休み』、
甲陽の速さは『平均速度』が出題されました。
問題に対する切り口を身につけないで、
解くためのツールであるダイヤグラムだけを教え込むのは、
駒の動かし方だけ教えて、将棋名人に勝てというようなものです。


「灘の速さはダイヤグラム」というのは、
「場合の数は書き出し」といって的中しましたというぐらいナンセンスです。

ナンセンスどころか、本質を見極められないひとつの要因だとさえ思います。


俯瞰する力を磨くことが、本当の速さの勉強です。
ダイヤグラムを極めればこそ、この場面で使わないという決断が導けるということが灘中入試の本質です。


だいたい、灘の速さ=ダイヤグラム、

  洛南の速さ=ダイヤグラム、 

よって  灘の速さ=洛南の速さ ?????


論理学の初歩ですね。



時代が変わろうと、学びの本質は変わりません。

昨年度、浜学園の合格体験記で総代の子が『見えない景色が見えてくる』と書いていました。

答えをなぞるのではなく、しっかり自分の道を歩めば、登り始めます。

どんな景色が見えるか楽しみですね。



さんすうLAB.主宰 倉田泰成


 

2014年度 灘中 入試問題 2日目 1
2014灘中2日目1

この問題を通じて今年度の灘中入試の本質に迫りたいと思います。

受験生のみんなはまず(1)を解きます。


いいえ、例を解きます
例を解いてルールをしっかり理解するとともに、
灘中が着眼してほしいことが何かを考えます。
2014灘中2日目1例

この2つを見比べて、何か気付くことがありますか?


2つとも2数の差が3になっています。

このことから周りの6つを見比べると、

2014灘中2日目1解説図

(黄-赤)÷5=差の3になっています。

同様に、和に注目すると

(黄+赤)÷3で真ん中2数の和が求められます。


ちなみに灘中は、マイナス(負の数)が中学過程であることを考慮して
(1)~(3)まですべて、右側が大きくなるようにしています。


消去算でがんばった人も多かったのでしょうね。


(4)(5)はこれで着眼点がつかめました。
斜めの差の規則が見つかります。
ここから先は考える楽しみがなくなってしますのであえて伏せておきます。


灘中の先生方には来年も今年と同じように良質なパズル問題を期待しています。

ラボでは、今年度2日目③
がそのまま出ましたが、
その回の学習事項で例の利用というテーマをひたすらやっています。

問題そのものの解き方というより、灘中がどういう趣旨で問題を出しているのか、
問題そのものだけでなく、問題用紙すべてから発するメッセージが汲み取れたかどうかだったと思います。

問題の解き方や定理を一生懸命覚えても、使いこなす視点がなければまったく歯が立ちません。

当たることに意味はありません。
どんな問題も自分が汲み取ってあげることができるのが本当の学力です。


学問に近道はありません。

確かに、灘中入試は
20分で解けますが、
その何十倍もの考え方を持っているものがきちんと答えを導けるのです。


受験は生き方の縮図です。
小さい体で、チャレンジする子どもたちには
まっすぐ真正面から自分らしく歩んでほしいと切に願います。



さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2014年 灘中 入試問題 1日目4
2014灘中1日目4

まず、11の上が9であることから、左-A-右の上3つの組み合わせが
1316151415132通りに絞れます。

ここで、どちらが答えかを選択しなくてはいけないのですが、
実際に入れていくと膨大な手間がかかります。


そこで、奇数と偶数の個数に着目します。


1~19の中に奇数が10個あること

38は偶数なので1列に奇数は偶数個あること

を念頭に
左下から眺めると、
ア,イ,ウ,エ,オ列に
91117191つずつあるので
各列に
2つずつであることが決まります。

奇数=△,偶数=○で表すと



2014灘中1日目4解説図

ここまでで,キ列に矛盾が生じます。    △10個,○9個があてはまりました。


A
15
使っていない奇数は173でシ列を見ると
1の下は38(16141)7以上なので
B3と決まります。

奇数と偶数の個数に着目のところを教えてあげれば、
3年生でも解ける問題でした。

今年度、No1の名作だと思います。


2013
年度も4は数の問題でした。

図形が、今回は平易で、目新しい問題は1問もありませんでした。
また
11問に減ったことも大きなトピックでした。


今回の入試は手間がかかる問題が多いという分析をなされているかたがいらっしゃいますが、
まったくそんなことはありません。


あきらかに、思考力を問う問題が増え、
5015問時代の処理能力を競うテストは終わったと思います。

あてはめや手数に頼らず、出題者の意図が汲み取れる準備を、
視野の広さを身につけるというのが灘中算数の極意です。

当日解説ではどんなことをおっしゃっていたのでしょうか?
パターンや定理にあてはめるのが算数ではありません。

本質を見抜く力を養ってください。


次回は、2日目のパズルを解いてみます。



さんすうLAB.主宰 倉田泰成

2014年 灘中入試 的中しました


2014 灘中 2日目3
2014灘中2日目

ラボプリントNo.37(ラボの授業は全38回なので最後から2回目です)10



BlogPaint

今年度は問題の構成も求めるべき答えも同じでした。


さんすうLAB.は、現在ほとんどの方が、ご紹介で成り立っているので、
おおげさなネット広告などをしておりません。


この問題は完全に的中しましたが、それがここの教室で学んでいることではありません。


例えば、この問題に行き着くまでに、No.36No.37
ありとあらゆる前の結果利用の問題をやってきました。


灘中をこれから目指す方に、自分の考えることを伝えたくて、
敬遠していたブログを始めることにしました。

ラボではなるべくたくさん視野を身につけることをモットーとしてやっています。

今年度に限らず、当たった・当たらないの次元の話ではなく、
灘中に出されたすべての問題の考え方を網羅しています。


今年度も当たったから、的中する問題のみ教えてほしいという方にはご希望に沿えないと思います。


もっと大きな広い世界に通用するようなファーストステップとして、
一緒に子どもたちによりそって歩んで行きたいと思います。


今年度はまだ、全員の点数は聞いていないのですが、受験者平均106.9点、合格者平均137.2点のテストで160台で合格されている方が多かったです。


次回、ラボなりの2014年度灘中入試解説を行いたいと思います。

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