またまた、立体の問題です。本来、このブログでは、数や場合の数を扱うほうがよいのですが、
昨年夏、さんすうLAB.過去問講座(ラボに通われている方は無料)の会員制サイトを作ったため、
さんすうLAB.の強みである数や場合の数はここではアップしません。
比較的、誰でも解ける立体からもう一問ご紹介します。
本問のカギは立体図形の立体のイメージのしにくさです。卒業生の灘の生徒に解いてもらってもなかなかイメージしにくいようでした。私も黒板にきれいに作図できる自信はありません。
さて、そこで、ここからどういう手を打ちますか。解説をご覧いただいた方はお分かりの通り、本問の種明かしは立方体を真横から見た図です。
解説にある真横から見た図なのですが、これも基本図形の一つです。
下の問題をご覧ください。
さんすうLAB.では、No.38(最終回の一回前)で扱っています。
この問題の式の意味は一般的には意味が分かりません。
この式を立てるためには2つの図が必要であり、そのうちの一つが今回の問題の図です。
この横から見た図はこのように立方体をきちんと分析する上で重要な図なのですが、
この図を正しく分析し、頭の中で構築するのは、小学生では限られた生徒にしかできません。
私は、浜学園で10年間、算数のトップを狙うお仕事を担っていましたが、0組で解説する場合は、まず式を書き、子どもたちに説明をさせます。
0組の生徒にこの問題を解かせると、上の式以外で(例えば平方根など)解く子も出てくるからです。ですが、年度の最終になると、この立体は平方根など使わなくてもみんな暗算で求めることができます。ちなみに0組は講師の自由裁量による部分が大きいので、今何が行われているかは存じ上げておりません。
一方、私が運営しているさんすうLAB.は、無試験で最難関を狙うという約束だけで、子どもたちに来てもらっています。
ですから、この問題をやるために、この横から見た図を6年秋以降、頻繁に出てくるようにテキストを仕組んでいます。
逆にいえば、前期には出てこない仕組みになっています。
6年前期では立方体に他の立体を入れる(入れ子)がきちんと立体視できない子がいるのです。
これは上位の5年生でもいえることです。
本問の成否の分岐点である『横から見た図』は、解説動画の正三角形ABCがこの角度から見ることで平面で表せる、というのがイメージしにくい立体図形の問題を簡単な相似形に平面化するカギになったことがお分かりでしょうか。
これで、最初に感じた立体が書きにくいという問題点が解消されたのです。
この『横から見た図』が灘で出た場合、算数がわかっていない方は「過去問の焼き直しが出た」というか、それ以前にこの問題との関連性が見いだせないでしょう。
正三角形のみならず正六角形や、上の問題の長方形に平行な切り口たちはみんな仲間で、
横から見た図によって平面化できるのです。
今回は、算数的なネタばらしをしすぎてしまいました。
灘の模擬テストは、こうやって作るのです。
少し古い中学への算数をそのまま出すなら、もう塾のテキストを中学への算数にするほうがましです。
今回、子どもたちの証言によれば、上位のかたは、この問題は立体座標、9番は余弦定理で解いたそうです。
そのレベルの数学の技術を身につけるか、立体や平面図形の見方を身につけるか、真実はその人の数だけあるとどこかのドラマの主人公が言っていました。
ある個別指導では、時間が余ったのでルートの勉強をしていたそうです。立方体を横から見た図を一回でも書いたのでしょうか。
算数の世界には、数学にはない、ものの見方があります。
さんすうLAB.主宰 倉田泰成